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「図解付き」薄茶平点前の手順を徹底解説【裏千家/風炉】

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こんな方におすすめの記事
  • 薄茶点前の手順がよく分からない方
  • お点前全体の流れが分からない方
  • 何度やっても薄茶平点前が覚えられない方

茶道を始めたばかりの方はもちろんですが、茶道を初めて結構経っているという方でも薄茶平点前の自信が無い・・という方も多いのではないでしょうか。

薄茶平点前は全てのお点前の基本・土台となるものです。

平点前で自然と体が動くくらいまで身についていれば 他のお点前は平点前と違うポイントをおさえていけばいいので、覚えやすさが格段に上がります。

逆を言えば、平点前がきちんと身についていないまま次々と違うことを覚えようとしても、土台がしっかりしていないのでボロボロと崩れてしまうのは当然のこと。

私自身も基本が固まらないまま、あれこれ覚えようとしてパンクした経験があります。。

こちらの記事では「薄茶平点前を教えていただいたばかり」という初心者の方にも全体の流れがイメージできるよう図解を交えて手順を丁寧に解説していきます。

いつまでもお点前が覚えられなくて焦っている。という方も、まずは落ち着いて一緒に手順を整理していきましょう!

※こちらのページでは風炉(5月~10月)のお点前を解説しています。

目次

薄茶平点前とは

薄茶平点前とは薄茶を点てる最も基本的なお点前です。棚を使わず、お点前の中で道具を運び出します。

薄茶平点前を教えていただいたけれど、工程が多すぎて覚えられないよ・・という方も多いかと思います。

一番基本となるお点前でも、その手順の数はゆうに100工程以上あります。
それを1つ1つ頭に叩き込んでいこうと思ってもそりゃあ大変ですよね。なのでまずはお点前の全体像をイメージできるようになることを目標としてみてください。

薄茶平点前 手順の全体的な流れ

そもそも、お点前はどんな流れで行われているのかというとこうなります。

すごくざっくりとした説明ですが、お茶を点てるために道具を運び出して清める。美味しいお茶を点てて飲んでいただいたら全て片付けて元の状態に戻す。という流れになります。

そしてお客さんより希望があれば最後にお道具の拝見と問答をする。(拝見は省略されることもありますが、大抵の場合はあります)

それだけなんだと思うと少し頭の中が整理できそうな気がしませんか?

具体的な手順を覚えていくことも大切ですが、そこばかりに目が行ってしまうと「次は何をしたらいいか」が全く浮かばなくなって固まってしまうんですよね。

細かい手順が覚えられなくて落ち込んでいる方は、まずお点前の全体像をイメージしてから覚えてみてください。

お点前を始める前の準備

さて、まずはお点前を始める前段階のお話。お点前に使うお道具やお茶室の準備をしましょう。

お点前が始まってから「あれが足りなかった・・!」ということのないように。準備はしっかりしましょうね。

茶室

水指などの道具はお点前が始まってから運び出すので、点前座には風炉だけが置いてあります。

水屋での準備

水屋に用意しておくお道具はこちら

水屋に用意するお道具

  • 水指 (水を7~8分目入れる)
  • 茶碗(茶杓・茶筅・茶巾を仕組んでおく)
  • 建水(竹の蓋置を仕組み、柄杓を伏せて乗せる)
  • (お菓子

ここで帛紗は腰に着けておきます。

お菓子を出す

水屋の準備が済んだらお客へお菓子を出します。

お菓子を出したら 左膝、右膝と下がって一礼。ひと膝右へ向いてから立ち上がり水屋へ戻ります。

茶を点てる準備

さて、お菓子を出したら本格的にお点前が始まります。

お茶を点てる前に、道具運び出したり清めます。先ほどの出てきた全体の流れで言うとこの部分です。

詳しく見ていきましょう。

道具を運び出す

水指を運ぶ

水指を茶道口の建付けに置いて座り、ふすまを開けて一礼

水指を両手で抱えるように持ち、点前座へ進み畳の中心に置く

水屋へさがる

棗・茶碗を運ぶ

右手に棗、左手に茶碗を持って入り水指正面に同時に置く

水屋へさがる

建水を運ぶ

左手で建水を持って入り定座へ座り、建水を手なりに置く

右手で蓋置を取り、柄杓の内側を通して勝手付の畳縁と敷板の中間へ置く

柄杓を蓋置に引く

左手で柄杓を取り、柄杓を構える(鏡柄杓)

柄杓を右手で持ち直し、軽く音をさせるように蓋置に引く

居住まいをを正す

左手で建水を膝前の線まで進め

着物の崩れや座る位置を整える

道具を清める

棗を清める

茶碗を右手前、左横、右横の3手で膝前の少し向こうに置く

棗を右手で取り、茶碗と膝の間に置く

帛紗をさばいて蓋を「こ」の字に清めて甲拭き、棗を水指の前左寄りに置く

茶杓を清める

帛紗をさばき直して茶杓を清める(3回)

棗の上中央へ左側から置く

茶筅通し

右手で茶筅を取り、棗の右横に置く

茶碗を少し手前へ引く

左手の人差し指と中指に帛紗を挟み、柄杓を取って構える(鏡柄杓)

帛紗で釜の蓋を開け、蓋置に置く(帛紗は建水の後ろに仮置き)

茶碗から茶巾を取り、釜の蓋の上へ手なりに置く

柄杓を右手に持ち替え、湯を汲んで全て茶碗へ入れる

柄杓を釜へ預ける

2度上げ、3度打ちで茶筅通しをし、茶筅を元の位置へ戻す

右手で茶碗を取り、左手へ持ち替えて湯を捨てる

茶碗を清める

右手で茶巾を取って茶碗へ入れ、3回半回して清める

茶巾を持ち替えて「い」「り」を書くように茶碗の底を清める

茶碗を元の位置へ置き、茶巾を釜の蓋の上へ戻す

茶を点てて出す

茶碗へ茶を入れる

茶杓を取り、正客へ菓子を勧める

左手で棗を取り、茶杓をにぎり込んで蓋を開け茶碗の右下へ置く

茶を二杓ほど茶碗に入れ、茶碗のふちで茶杓を軽く打つ。棗の蓋をして元の位置へ戻す

茶杓を棗の蓋の上へ戻す

右手で水指の蓋のつまみを取り、左手で左横を取り水指の左横に立てかける

茶を点てて出す

右手で柄杓を取り、釜の湯を汲んで茶碗へ入れる

残りの湯を釜へ戻して切り柄杓で柄杓を釜へ預ける

茶を点てて「の」の字を書くようにして茶筅を持ち上げ、茶筅を元の位置へ戻す

右手で茶碗を取り、左掌へのせて茶碗を時計回りに2度回して正面が客側を向くように茶碗を出す

お客の動き

正客は茶碗を取りに出て縁内に置き「お点前頂戴いたします」と挨拶 → これを受ける

(帛紗扱いの場合)正客が茶を一口飲んだら仮置きしていた帛紗を腰へ付ける

道具を片付ける

使った道具を片付ける

茶碗をすすぐ

客より茶碗が戻ると右手で取り、左手であしらい右手で膝前へ置く

湯を汲んで茶碗へ入れ、柄杓を釜に預ける(置き柄杓)

湯を建水にあける

お客の動き

これでおしまいの場合は湯を建水にあけたタイミングでお客より「どうぞお仕舞ください」と挨拶があるので、軽く受ける
茶碗を置いたら「お仕舞にいたします」と改めて挨拶をする

まだ飲んでいない人が居るなど お客よりお仕舞の挨拶が無い場合、
湯を捨てたら茶巾に手が伸びて茶碗を清める→先ほどと同じ動作で茶を点てて出す の流れが繰り返される

茶筅すすぎ

柄杓を取り 水指から水を汲んで茶碗へ入れる

柄杓を引き柄杓で釜に預ける

茶筅通し(一度上げ二度打ち)をして茶筅を元の位置に戻す

茶碗を片付ける

茶碗の水を建水にあけ、そのまま茶巾に手が伸びて茶碗に茶巾を戻す

茶碗を膝前に置き、茶筅を茶碗に戻す

茶杓を清める

右手で茶杓を取り、左手で建水を引く

帛紗を取ってさばき茶杓を清める(2回)

茶碗に伏せて置く

帛紗をにぎり込んだまま右手で茶碗を少し左へ寄せ、棗を茶碗の右横へ置き合わせる(中仕舞い)

帛紗を建水の上で2度軽くはらい 腰へ付ける

釜の蓋、水指の蓋を閉める

柄杓を上から取って水指から水を汲み、釜へ一杓さす

柄杓を構えて釜の蓋を閉め、柄杓を蓋置に引く

右手→左手→右手の三手(開けた時と逆の動作)で水指の蓋を閉める

お客の動き

正客から「お棗・お茶杓の拝見をお願い致します」と所望があればこれを受ける

拝見の所望が無い場合は、水指の蓋を閉めた後、建水・茶碗と棗・水指と順に水屋へ持ってさがりお仕舞の挨拶をして終了です。

拝見

拝見物を出す

柄杓を建水にたたむ

蓋置を右手で取り、左手で横から持ち建水の後ろに置く

茶碗の右横を持ち、一手で勝手付へ置く(割り付ける)

棗を清めて出す

棗を右手で上から取り、左手に乗せ客付に回る

棗を膝前に置き、帛紗を草にさばいて棗を清める

帛紗を右手に握り込み蓋を開け、蓋裏を見てから正面に置く

開けた棗の口を、向こう手前と「こ」の字に清め、再び帛紗を握りこんで蓋を閉める

帛紗を膝前に置き、棗を右回りに2回回して正面を向け、右手で上から持って縁外に出す

帛紗を腰につける

茶杓を出す

点前座正面へ回り、右手茶杓を取り左手に持ち替え

客付へ回り右手で逆手に取り棗の右横に出す

道具を下げる

建水を下げる

点前座正面へ回り、左手で柄杓を取り、横になるように右手で持つ

左手で蓋置を取り右手の親指・人差し指・中指へ持たせる

ひと膝勝手付へ向き、左手で建水を持ち

左膝から立ち建水回りで水屋へ下がる

茶碗を下げる

点前座へ戻り、右手で茶碗を取り左掌へ乗せて水屋へ下げる

水指を下げる

点前座へ戻り、両手で水指を持ち水屋へ下げる

問答

入室

道具を下げ終わったら茶道口へ座り、拝見が終わるのを待つ

拝見が終わったのを確認したら入室。道具正面を向いて座り一礼

問答

「お棗のお形は?」「お塗りは?」「お茶杓のお作は?」「御銘は?」といった問答に答える

退室

右手で棗を取り、左掌へのせる

右手で茶杓を取り、左ひざから立って水屋へさがる

茶道口に座り 茶杓、棗を建付け側へ置く

一礼をして襖を閉める

まとめ

薄茶平点前の手順をご紹介しました。記事の途中でも言いましたが「次は右手であれを取って、次は左手で・・」など具体的な動きを丸暗記しようと思っても工程が多すぎてパンクするのは当然のこと。

お点前の動作は合理的に考えられています。手順や動作にはどれも理由があり、それをしっかり考えていくと「あ、次はこっちの手でお道具を取るのだな」と気づけるようになってきます。

一つ一つに「そういうことだったのかー!」と納得できるとお稽古の楽しさがぐんと上がりますよ!

書籍でじっくり勉強したい!という方は写真付きで詳しく手順を確認できるこちらがおすすめです。
淡交社から出ているものなので安心。

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